「考えて」と言われても、子どもは考えられない ― IB教育と守破離

IB教育と守破離

こんにちは!

インターナショナルチューター大阪の伊藤慎吾です。

 

先日、IB校(International Baccalaureate)のG8の生徒を指導した際に、IBの特徴である「探求学習」について、考えさせられる出来事がありました。 

 

IB教育の魅力は、暗記中心ではなく、 

「自ら問いを立て、調べ、考え、説明する」

という探究型の学びを重視している点です。 

 

私はこの理念にはとても共感しています。

しかし、一方で、

「考えるための基礎」が十分に身に付く前に、「探究」だけを求められているケースもあるのではないか?

と感じることがあります。

 

その生徒に課された課題は、

「G7とG8にアンケートを取り、その結果を学年間で比較し、2種類以上のグラフにまとめ、分析したことを発表する」

というものでした。

とてもおもしろく、実践的な課題だな!

と感じました。

 

生徒は以下のようなアンケートを作成しました。

  1. あなたの趣味に当てはまるもの全てにチェックをつけて下さい
    [バスケットボール、バレーボール、野球、サッカー、音楽、ゲーム、その他(自由記述)]
  2. あなたは毎日、趣味に何時間費やしていますか?
    [1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間以上]

 

おもしろい質問だと思いました。

ただ、プレゼン発表はなんと翌日!

いざどこまで出来ているのか確認してみると、

  • アンケート結果をまとめた表からどうやってグラフにしたら良いか分からない
  • どの種類のグラフを選ぶのが適切なのか知らない
  • そもそも、まとめた表が分析しづらい形になっている

という状況でした。

データは集めたものの、「そこからどう分析へつなげれば良いか」が分からなくなっていたのです。 

そこで、

「趣味の種類を比較するより、『趣味の数』で比較した方が分析しやすいんじゃない?」

と提案すると、

”That’s a good idea!”

と喜んでくれました。笑

また、回収してきたアンケートが無造作に積まれていたので、学年と趣味の数ごとに分けさせました。

そこから、

  • アンケート用紙の結果を私が読み上げる
  • 彼が表に打ち込む
  • 各表に対して適切なグラフの種類(棒グラフ、円グラフ、散布図など)を提示
  • 作成したグラフから分かったことをまとめる

という流れを一緒に進め、授業を3時間に延長して何とかプレゼン資料を完成させました💦

 

この背景には様々な可能性があります。

先生が十分説明していたけれど、生徒が理解できていなかったのかもしれません。

あるいは、限られた授業時間内では細かい指導が難しかったのかもしれません。

実情は分かりません。

ただ、分かっていることは、

  • 適切なアンケートの設問
  • アンケート結果の仕分け方
  • 生データからの表作成
  • 適切なグラフの選び方

といった「探究の基礎」を十分知らないまま生徒が課題に取り組んでいた、ということです。

 

私はIB教育の理念そのものは素晴らしいと思っています。

主体的に考える力や探究心は、これからの時代に欠かせません。

しかし、「考えなさい」と言われただけでは、子供達はどう考えて良いか分かりません。

 

私は、子供達が自分で考えてアウトプットできるようになるためには、

守破離(しゅ・は・り)」が大事だと思います。

守破離とは、茶道や剣道などの芸道・武道の修行の過程を示す概念で、3つの段階に分かれます。

  • 守:まずは師匠の型を忠実に学ぶ段階
  • 破:型を理解した上で応用する段階
  • 離:最後に自分自身のやり方を確立する段階

「自分で考えてやってみる」は「破」や「離」の段階だと思います。

しかし、その前に必ず「守」の段階があります。

  • 先生がまずお手本を見せる
  • 生徒がマネしてみる
  • フィードバックを受ける

その積み重ねがあって初めて、本当の意味で「自分で考える力」が育つのではないでしょうか。

基礎をしっかり教えた上で探究へつなげる。

その順番こそが、子どもたちの「考える力」を最大限に伸ばす教育なのではないかと、今回の授業を通して感じました。

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

それではまた!

シェアしていただけると幸いです
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

勉強が苦手なインターナショナルスクール生をサポートするプロ家庭教師。京都のインターナショナルスクール中・高等部の元数学・理科教員。自身もADHDの傾向があり、発達障害への理解がある。日英バイリンガルでIB・米国・日本の数学を指導することができる。

この記事の目次